美術手帖 昭和42年増刊号

 美術手帳の昭和42年(1967年)11月増刊号です。1960年代といえば、アンディーウォーホルがキャンベルスープ缶やマリリンモンローの肖像画をシルクスクリーンで大量生産していたころです。

 

 現代美術にスポットを当てた形で美術用語の解説をしています。しかし、単に用語の説明だけの物ではなく、現代美術が理解されるように構成されています。まえがきの一部に

この辞典は、巻末索引(事項・人名)を利用して“引く辞典”であると共に、“読む辞典”としての性格をも持っている。巻頭に「現代美術の10の要素」を掲げ、今後の制作と理解によって種々の変容を遂げるであろう現代美術の基本的概念を明らかにしたのもこのためである。

と、あります。今現在でも現代美術といえば「なんだこれ?」と思われることが多いと思いますが、この頃はなおさらだったと思います。その疑問の対象を、この辞典を読むことで読めてくるように考えた編集者の苦心を感じました。

 

 また、雑誌ならではですが、掲載されている広告も資料として面白いです。今のように写真やカラーレイアウトなどの派手さやオシャレな感じはないですが、逆にダイレクトに言いたいことが伝わってくるシンプルな格好良さがあると思います。